泣いた。

2024年01月28日 07:54


悲しかった訳でもなければ、罵倒された訳でも
侮辱された訳でもない。

20年以上続けてきた美容師という仕事。

以前に受けたセミナーの課題で出された

自分の強みってなんだろう
自分の価値ってなんだろう

をお客様に聞いてみる。

実際にお客様の立場に立ったとき、
僕に何を期待し何を求めているのだろう。

自分という存在の「何」が、周りの人を幸せにしているのだろう。

今まで、どう見えているのかなど考えたことはなかった。

とにかく上手くカットさえすれば
お客様は喜んでくれる、来てくれると思い込んでいた。

しかし、それは単に自分がそう思い込んでいるだけで、自己評価と他者評価は必ずしも一致しないのが現実。

相手にどう見られているか、
相手にどう映っているかは
聞いてみなければわからないのだ。

「なぜ僕を選んでくれているんですか?」

ある時、ドキドキしながら聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。

「今まででやってもらった美容師の中で
一番良かったから」、「無理だと諦めていた
スタイルになれたから」。

素直に嬉しかったし、やっぱり技術なんだと思った。

コミュニケーションに関して、全く自信が無かった自分。

会話自体があまり得意ではなく、手と口を同時に動かすのは自分にとって至難業。

以前勤めていた会社の社長には、
「お前は向いていない。ヤメたほうがいい。」
と言われたこともあった。

美容師にとって致命的。

いつも頭の片隅にあった美容師の選択は
間違いだったのか。

だから今でも技術は超絶に上手い訳ではないから、常に守破離を繰り返しながら磨きをかけ、不安をかき消すように鍛錬してきた。

しかし

ある方からのお言葉が、そんな想いを吹き飛ばしてくれた。

「あなたという人間に惹かれたからよ」

そして続く、

「息子も言っていたよ。穏やかな人だよねって。
落ち着くんだって。だから安心して任せられるのよ。だからもっと自信を持っていいんじゃない?
私達は何があってもあなたを信じてついて行くわ」

思いもよらない言葉に涙が一気に溢れ出し、
ひと目もはばからず泣いてしまったのだ。

嬉しかった。

続けてきてよかった。

お客様は技術で選んでくださる方もおられるし、
人間性で選んでくださる方もおられるんだと。

思いに触れ、もう迷いは消えた。

時代と共に変わるトレンドに合わせて、
技術はもちろん磨いていく。

しかし、

それ以上に美容師として、一個人として
人間性を磨き、感謝、責任、信頼、誠実とともに
お客様と深いところで繋がれるよう精進する。

そして、

綺麗になるように、
笑顔になってもらえるように、
誰にも負けないくらい、丁寧に丁寧に真心を込めてこれからも美容師を続けて、社会貢献してゆこうと思う。

日日是好日。

今日はご一読くださり、ありがとうございました。

記事一覧を見る

powered by crayon(クレヨン)